家の玄関の錠前(以下:鍵)をキーレス化して、便利に施解錠出来るようにしたいと一度でも思ったことがある方は多いと思います。
キーレス化を行うには一般的に、電子錠(スマートロック)と呼ばれる暗証番号やICカード、スマートフォンで施解錠をするタイプと、
手の指紋で施解錠する指紋認証タイプがありますが、実は指紋認証タイプは
今回はどちらを選ぶべきなのかを防犯業界にいた私の経験をもとに解説したいと思います。
一般的なスマートロックと指紋錠の共通点と違い
スマートロックと指紋錠の共通点は、どちらも玄関に付いている既存の鍵から比較的簡単に交換が可能だという点です。
全ての種類の鍵から交換出来る訳ではありませんが、
たとえ交換出来ない場合においても既存の鍵はそのままにして、別途後付けで補助錠という形で設置可能で、
基本的にはどちらでも玄関の鍵をキーレス化することが可能です。
普段は補助錠だけ使うという手もありますね!
家庭用の場合はどちらも市販の電池で動作しますが、大きな違いは「どうやって鍵を解錠するか」という点にあります。
まず一般的なスマートロックの場合、製品付属のカード・交通系ICカード(スイカ・パスモ等)・暗証番号・スマホ(おサイフケータイ機能付き)をキーの代わりとして使用することができます。
一方で指紋認証タイプは、登録した指紋をキーの代わりとして使用することが出来ます(一部の指紋錠は暗証番号操作も可)。
一般的に指紋認証タイプの場合は、非常用の鍵穴が本体の側面などについてあることが多く、
突然、指紋で操作できなくなってしまった・・・などのトラブル時に、
付属の非常用キーで解錠出来る構造になっています。
結局スマートロックと指紋錠はどちらがいいの?
ではそんなスマートロックと指紋錠は、住宅用の鍵として、実際にどちらがおすすめなのか。
先に結論を言うと、それは「スマートロック」です。
理由については指紋認証錠のトラブルリスクが関係していますので、
それについてここから詳しく解説していきますね。
指紋認証型のリスク1:トラブルが多い
家庭用の指紋錠のトラブルは実際に数多く見てきました。
主なトラブルというのは「指紋で開かない」ということです。
これは登録している指紋を指紋錠が認識せずにエラーになってしまうことを指しますが、
これが起こる原因は主に以下のような理由になります。
・家庭用で価格の割に製品の質が低い
・指紋は人によって個人差が大きい
・室外設置で読み込みリーダーが環境の変化を受けやすい
指紋認証型のリスク2:価格に見合っていない
指紋錠は一般的に3~10万円前後の価格帯になりますが、これは一般的なスマートロックと比較して高価になります。
また、製品の質がそれに見合っているかと言うと、現状はそうではありません。
特に6万円以下の低価格帯の指紋錠は、本体の耐久性や性能と言った部分で実用レベルに達していないことが多いですね。
もしどうしても指紋錠を使用したい場合は、最低でも8万円以上の製品を選ぶことが条件になってくると思います。
製品の善し悪しというのは当然、金額によって左右されるものだからです。
一方でスマートロックの場合、市場が拡大しているという側面もあり、指紋錠より安価で高品質な製品が多いんです。
各メーカーの動向は指紋錠よりもスマートロックに力をいれていますので、
どうしても指紋錠の開発や改良の優先順位は低くなります。
それでも発売しているのは一部の需要があるからなのですが、
実際には販売不振で数年でメーカー廃版となる製品も多くありますので、購入の際は検討が必要です。
指紋認証型のリスク3:指紋を読み込まないトラブル
指紋錠のトラブルで一番多いのは先程もお伝えした「登録した指紋で解錠することが出来ない」ことです。
これには理由があり、それは指紋には個人差があるからです。
指紋というのは当然一人一人異なるものですが、ここでいう個人差というのは「指紋の状態」のことです。
例えばですが、美容師さんなどのようにパーマ液などによって仕事柄手が荒れている人の指紋は認識しづらくなったりします。
これは冬に家事を行う主婦(夫)の方も同様ですね。
あと子供の指紋も要注意です。
人の指紋自体の模様は変わりませんが、子供の場合は成長するにしたがって指自体が大きくなりますので、
その影響で読み込みでエラーが出るケースがあります。
他にも指をケガしたり、傷が出来たりすることで、エラーとなる場合があります。
そもそも指紋が薄いという人もいます。
さらに気をつけなければいけないのは、指紋を指紋錠に登録する時です。
指紋錠は登録した瞬間の指紋を「キー」としてデータ化しますが、
その時に指が微量の汗で濡れていたり、汚れていたりすると後日同じ指で操作しようとしてもエラーになるというケースがあるわけですね。
登録する時の指の角度も重要で、1本の指でも最低5パターンくらい角度を変えて登録する必要があり、
家庭用の指紋錠は指紋を読み込むリーダーがまだ実用レベルに達してない場合が多くあります。
こういったいくつものエラー原因がありますので、相当な理由がなければスマートロックを選んでおくことが良いと思います。
指紋認証型のリスク4:環境の変化
指紋錠の読み込みリーダーは通常、玄関扉の外側、つまり屋外に設置されますので
ホコリや温度・湿度などの環境変化の影響を受けます。
これは販売されている製品ごとの耐久性にも関係しますが、
精密機械である指紋錠は、1年持たずに故障することなんかもあります。
指紋認証型のリスク5:使えない指紋錠はキーレス化出来ない
ということで、お伝えしたように指紋錠には特有のトラブルが発生するリスクがあります。
指紋で鍵を解錠出来ないとなると、結局は非常用のキーで解錠することになりますが、
もしも、それを携帯していない場合は家に入れないという大事件に発展してしまいます。
玄関の鍵をキーレス化する最大のメリットは防犯性能を高く保ちつつ、簡単にワンタッチで鍵を操作できるという利便性にあるのに、
そもそも一発で読み込んでくれないというのは、無駄なストレスを抱えることになります。
特に玄関は毎日出入りしますので、小さなストレスの連続は結構たまっていきます。
特別な理由がない場合はスマートロックを選ぶべき
さて、もう答えは出ているかもしれませんが、
どうしても指紋で施解錠を操作したいと言う特別な理由がある場合を除くと、現状では「価格・性能・利便性」の3点で
スマートロックの方が指紋錠より優れていると言わざるを得ません。
実際に両方を使用・施工した経験からすると、指紋錠のトラブルの頻度は他の鍵と比べて格段に多いんですね。
しかし、スマートロックの場合は、ドアの形状さえ合えば、どなたにも安心しておすすめ出来ます。
実際に使ってみて、特に便利な使い方だと感じるのは、スマホを登録してキーとして使う時です。
特に現在では多くの方がスマホをいつでも使えるように取り出せる状態で外出していますので
その延長線上で自宅の玄関の鍵をスマホを「ピッ」とかざすだけで操作出来るのは、これ以上ないほどに便利!
スマートロックの読み込みエラーはどうなのか気になる方もいるかと思いますが、
おサイフケータイの機能を使っていますので、エラーはほとんどなく、コンビニでスマホ決済するような感覚です。
ちなみに大抵の場合、解錠にはアプリをインストールする必要はなく、
そのままスマホをスマートロックのカードリーダーにかざすだけです。
玄関の鍵のキーレス化は鍵を失くす心配から解放されたり、防犯的な側面からも今後どんどん進んでいくと思いますが、
もし今それを検討している方がいるならば、
指紋錠ではなくスマホ、ICカード、暗証番号などで操作出来る「スマートロック」をおすすめします。
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